たまにはまとめて綴りたい

ツイッターであまり垂れ流したくないような話(社会問題とか)をこちらでまとめて書くことにしました。

大西議員の質疑は高須クリニックを悪徳美容外科扱いしたものではないのは明白

まずはこの記事

ameblo.jp

 

 他にもいくつかのメディアで話題になっていますが、本人のブログより、何を問題視しているのか、ブログより引用します。

国会の厚生労働委員会民進党大西健介議員が
エステで集客して系列のぼったくり美容外科に引き渡す悪徳ビジネスや
チラシで誇大広告をうって集客している悪徳美容外科について質問してた

悪徳美容外科は大量の陳腐なテレビCMをうって信用度を高めているのだそうだ

「例えば有名なイエス○○クリニックみたいに」だって💢😠💢

高須クリニックエステで集客しないし誇大広告のチラシも撒かない
ぼったくりはしない

高須クリニックの施術料金は40年間変わって
いない

つまり「陳腐なCM」以外は高須クリニックとは無縁の話なのだ

真面目に40年以上頑張ってきた高須クリニック
悪徳美容外科と同列に質問に混ぜて「あの有名なイエス○○クリニック」って言われて
怒りがこみ上げてきた


きちんとおとしまえをつけてもらわなくては怒りが収まらない

 これを見ると、高須院長は高須クリニックが「悪徳美容外科」かのように扱われたことに対して訴訟を起こすことが見て取れます。*1

 

 では、実際の大西健介議員の質疑の該当部を見てみます。質疑内容は衆議院インターネット審議中継より、私が文字起こしをしました。映像部分で言えば5:16:50頃のことです。

広告の話にちょっと入っていきたいと思うんですけども、今回の医療法ではですね、広告規制の見直しが含まれているわけですが、そもそも医療分野はですね、人の身体・生命にかかわるものであり、また専門性が高いということで広告が原則禁止のような非常に強い規制がかかっているということであります。

 ただしですね、美容医療というのは、今、医政局長の答弁の中にもありましたけど、普通の医療とはちょっと違うと。つまり、すぐ治さないといけない病気があるわけじゃなくてですね、客観的な医療の必要性ではなくて、患者の主観的な意向によって手術が行われる。結果についてもですね、きれいになったかどうかは患者の主観で決まる。
 また、美容医療を受けたことのある人は、普通は他人には自分から言いませんから、『私、美容医療受けたのよ』とは。ですので口コミというものがあまり機能しない。それから、自由診療であるので、非常に金額が高くなる。
 こういういろんな特徴が、医療の中でも違うんだろうなと。だから派手な広告であったりですね、強引な勧誘による集客行為が行われやすい傾向があるんではないかというふうに思います。
 で、一方でですね、医療分野においては、先ほど言ったように原則、広告が禁止になっていて、非常に限定的な事項しか広告することが認められていない。医療機関名であったり連絡先だったり。
 そのためCMも陳腐なものが多いんですね。たとえば皆さんよくご存じのように『Yes!〇〇』とクリニック名を連呼するだけのCMとかですね、若い女性がですね、ゴロゴロゴロゴロ、0120で始まる電話番号とクリニックの名前を言いながらゴロゴロゴロゴロ転がっているCMというのですね、皆さん見たことあると思います。あるいは、テレビでおなじみのニューハーフタレントがですね、音楽に合わせて踊りながらですね、『〇〇美容外科』というのをずっと言い続けるというですね、こういうCMがよくみられるんですね。
 で、選挙でもね、我々も名前の連呼というのをやります。確かに、知らない人の名前は書きませんから、名前を連呼するわけですけども、ただ、名前連呼だけだったらですね、その候補者が何考えてるのかもわからない。だれに投票していいのかもわからないのであります。
 そういう意味ではですね、こうしたクリニックの名前とか、電話番号だけを連呼する広告というのは、患者が医療機関や治療方法を選択する上では私は有用なものではないと思うんですけども、こういう広告というのは陳腐だと思いますけども、大臣はどのように思われますでしょうか。

 

 この質疑にある前提として、毎日新聞の次の記事があります。

mainichi.jp

 この記事を引用し、「美容広告や勧誘に問題があるのではないか」という趣旨のことを言った後の質疑内容です。

 質疑を見ればわかる通り、大西議員は医療法を守っている例として複数のテレビCMを挙げています。医療法を守っているCMは名前と連絡先しか広告できないため、医療機関や治療方法を選択するのに有用でないという趣旨のことを述べているわけです。

で、一方でですね、医療分野においては、先ほど言ったように原則、広告が禁止になっていて、非常に限定的な事項しか広告することが認められていない。医療機関名であったり連絡先だったり
そのためCMも陳腐なものが多いんですね。たとえば皆さんよくご存じのように『Yes!〇〇』とクリニック名を連呼するだけのCMとかですね、若い女性がですね、ゴロゴロゴロゴロ、0120で始まる電話番号とクリニックの名前を言いながらゴロゴロゴロゴロ転がっているCMというのですね、皆さん見たことあると思います。あるいは、テレビでおなじみのニューハーフタレントがですね、音楽に合わせて踊りながらですね、『〇〇美容外科』というのをずっと言い続けるというですね、こういうCMがよくみられるんですね。
(中略)
そういう意味ではですね、こうしたクリニックの名前とか、電話番号だけを連呼する広告というのは、患者が医療機関や治療方法を選択する上では私は有用なものではないと思うんですけども、こういう広告というのは陳腐だと思いますけども、大臣はどのように思われますでしょうか。

 この質疑に対する塩崎厚生相の答弁ののち、今回新たに規制対象に組み込まれるホームページやフリーペーパーに関する質疑を行ないました。

私はバランスが悪いと思うんですよね。一方では電話番号と名前しか連呼しない。でも、これで今回法改正が入るわけですけども、ホームページにいけば、今はもうフリーになっていると。
あるいは、後で言いますけども、チラシとか雑誌に掲載されている広告とかですね、フリーペーパーに出てる広告とかどうなのかというとですね、これはもう、酷いものなんですよ。後でこれは指摘しますけども。
ですから、ある部分で非常に厳しくしてるんだけども、そのぶん別のところで非常にゆがみが生じてしまっていると。
さっき言ったように、本来はですね、患者さんが治療方法とかクリニックを選択するうえで有用な情報であれば、私は別にテレビCMで流してもいいと。
ただ、先ほどから言っているような、間違った誘因をするような虚偽のとか、そういう内容についてはしっかりチェックをかけていかなければいけないけども、今言ったように、ある部分ではすごく厳しくしてるからクリニック名だけ言ってるんですが、ある部分ではめちゃくちゃやってるわけですよ。
このアンバランスというのを、大臣どのように思われますか

 この質疑と組み合わせて読めばわかる通り、雑誌やフリーペーパーの広告は酷いもの*2であるのに対し、医療法を守っているテレビCMは名前と連絡先しかわからないため、アンバランスだと指摘しています。

 

 当該質疑以降の文字起こしは別記事にて記述しますが、全体の質疑を通して、大西議員は個別のクリニックについて話しているのではなく、基本的には美容医療業界全体について話をしています。

 しかも、高須クリニックについては、城本クリニック*3、共立美容外科とともに医療法を守っているテレビCMの例として名前を伏せて引用するのみ*4であり、違反広告を出す悪徳美容外科かのような言い方は全くしていません。

 そういう点で、高須院長の大西議員の質疑に対する認識は全くの誤りであると言わざるを得ません。また、「Yes!〇〇」というフレーズが高須クリニックを指す指さないという話は全く無関係です。仮に実名を出していたとしても、前述のとおり医療法を守った広告の例として挙げているのですから、悪徳業者扱いしてるとは到底言えません。

 

「陳腐」という言葉についても、高須クリニックのCMを含めたテレビCMを指して「陳腐だ」と言ったのは間違いないのですが、それはCMを貶すためではなく、医療法の規制を厳しく守ると名前と連絡先しか宣伝できない広告ばかりになっていることを批判するためであると十分に推測可能です。

 もっとも、大西議員の意図がどうであれ、CMに対し否定的な意味で「陳腐」と言ったのは事実であり、国会議員であれば言葉の使い方に気を付けるべき、というのはまっとうな意見であると私は思います。

 

 まあ、少なくとも「発言の一部を切り取って歪曲するマスゴミ」を批判するような人なら、大西議員の質疑への批判についても「発言の一部を切り取って歪曲するな」と言っているのでしょうね。

*1:他メディアや本人のツイッターではCMを「陳腐」と言われたことにも憤慨しているみたいだが、ブログを読む限り、争点はあくまで「悪徳美容外科扱いされたこと」にあると見たので、そこを論点にしています

*2:後の質疑で実際の広告を持ち出し、違反広告だらけであることを指摘した。東京都の調査によると、140件の広告中134件が不当と思われる表示とのこと

*3:なお、フリーペーパーの広告については名前を伏せられながらも違反表示のオンパレードだと指摘されていた

*4:実際にはこの直前の質疑で、美容クラークについての記事を高須クリニックのホームページ(名前は伏せた)から引用しており、その際に「うちはそういうやってませんよということを書いている」と付け加えたが、容易に特定できる言い方をしたのはこのときだけ